国立大学法人島根大学

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育休の一つの事例について(2)

倉田健悟(汽水域研究センター、男女共同参画推進室)

前回、育児という側面から見たら、育休は制度としてあるだけで、長い子育ての中の一部に過ぎない、と述べた。今も、およそ2週間に1回の週末は、家族の住む家に行き、時間のほとんどを育児と家事に充てている。

ではなぜ、育休がこのコラムの主題になるように、よく取り上げられる対象となっているのだろうか? それは、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)について考えさせられる、凝縮されたテーマだからだと思う。育休を経験する前は、私はこのことについてほとんど考えたことがなかった。

育休の期間、月に1回は松江に戻り、開始したばかりの毎月の大橋川のヤマトシジミとホトトギスガイの調査を行っていた。その他の仕事は、育児の合間にやっていこう、と最初は目論んでいたが、実際はほとんど捗らなかった。同時に多種の仕事を並行的に進めることについて、育児は一緒にできないことが分かった。育休中は、仕事を完全にオフにするのか、それとも片手間に仕事をこなすのか? 精神的にも、また制度的にも、「育休」イコール「仕事を完全にオフ」が理想だと、後でつくづく感じた。

もっとも、育休という制度があったり、子育てを夫婦で互いに分担できる環境(父親と母親がいずれも経済的に安定な収入を見込める状況)にある、というのは、一部なのではないか、と思う。育児休業制度は、基本的には継続的な雇用が見込まれる場合を想定している。休業中の給与を埋め合わせしてくれる給付金は、継続的な雇用が前提である。

様々な理由や事情により、育児休業制度を利用できない、もしくは育休を利用して子育てを夫婦で分担することができない人たちから見たら、育休を取れる可能性がある状態は、非常に恵まれている。育休中に子どもの泣き声で内職仕事に集中できないとか、休業中に懸案の仕事が遅れてしまうのが心配だ、などというのは、贅沢な悩みなのである。こんな風に考えることができるのは、育休が終わってからだった。

育児休業を経験してみると、如何に自分が狭い世界でいつの間にか枠に留まってしまっていたか、よく分かる。育休中は、仕事だけでは向かわなかった思考にたくさんの時間をかけられる。子どもに離乳食を食べさせるのにどうしたら一番いいか、試行錯誤するのは、どんな仕事よりも創造的かもしれない。夜泣きをする子どもをあやして寝るまで競い合うのは、ほとんどの仕事よりも忍耐力がいる。0歳児保育のクラスに入って保育士さんたちのタフさを見たら、とてもかなわないと思う。いつの間にか育休は、育児の研修だけでなく、自分自身の生き方の研修になっていた。

何よりも、子どもが成長していくのが分かる。この嬉しさは、いつしか仕事に戻りたくないという幸せな気分にさせるから、注意を要する。これさえ気をつければ、育休を取れる可能性のある人は、育休を取って決して後悔はしないはずである。考えることのなかった、ワーク・ライフ・バランスなどという言葉を使ってみたくなったりもするのだ。

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