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イクメン修行中なう(2)~0歳児の父親編~

家島明彦(教育開発センター)

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)という言葉があります。正直、「研究者なんていうヤクザな職業とは無縁の言葉だろ」と思っていました。父親になるまでは。

2007(平成19)年12月18日、関係閣僚や各界代表らで構成される「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」によって「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定されました。約1か月前(平成22年6月29日)に出された改定案によると、現状1.23%である男性の育児休業取得率を2020年には13%にするといった具体的な数値目標も設定されています。果たして実現するのでしょうか?

今回は、「初めての就職」と「初めての子育て」が重なり、仕事と家庭と研究の3足のわらじを履きこなせず苦悩していた(今でも悶々としているのですが)「0歳児の父親」期を振り返ってみたいと思います。

~0歳児の父親編~

「いいかげん寝てくれ!」

これが0歳児の父親として一番しんどかった思い出である。それは声にならない心の叫びであった。冒頭のセリフ(心の声)も、最初の方は(怒)だが、だんだん(泣)に変わってくる。「頼むから寝てください。(僕を)眠らせてください。」と嘆きモードになることも多々あった。これが恐怖の「夜泣き」である。

2009年4月、縁あって島根大学に赴任した。それは同時に、妻と子と3人暮らしのスタートでもあった。新しい仕事と新しい家庭生活がいっぺんにやってきた。人は幸せ2倍と言うかもしれないが、正直しんどさも2倍だった。仕事で疲れて帰ってきても睡眠で身体を休ませることができないというのは結構しんどかった。最初は抱き上げて「よしよし」とあやすのだが、いつまでも泣き続けられると、理由はわからないし対処もできないので、だんだんイライラが募り、時には抱き上げた我が子をそのまま「そぉい!!」と地面に叩きつけてしまいたくなる衝動を覚えることすらあった。心身ともに疲れ切った状態で子育てはできない。

心理的・経済的に余裕がない若い親が夜泣きする子どもに業を煮やして暴力を……という痛ましい事件をテレビや新聞で見る度に「なんて自分勝手な奴らだ!親失格だな!」などと勝手に憤っていた自分を反省した。子育ては体力と忍耐力を必要とする大変な仕事(仕事というか営為)である。子育てを経験したことがない人には分からない苦悩や葛藤があることを、初めて知った。もちろん、子育てをしている人が子育てをしていない人より偉いという気は毛頭ないが、少なくとも自分が子育てを経験してから、子育てをしている人に対する見方が変わったのは確かだ。一人親家庭の大変さが実感を伴って分かるようになったし、子育てと仕事を両立している人(特に働く母親)は、それだけでも尊敬に値すると思えるようになった。

0歳児の父親として経験したことがある育児活動として思いつくのは、オムツを交換する、お風呂に入れる、ミルクをあげる、ほ乳瓶の煮沸消毒をする、離乳食をあげる、服を着替えさせる、くらいだろうか(注:決して毎回やっていたわけではない)。最初はどれもぎこちなかったが、慣れてくるものである。オムツ交換も、最初は大きい方が出たら「よろしく」だったのだが、いつからか自分でも処理できるようになった。と、見栄を張って色々と書いてみたが、実際はほとんど専業主婦の妻に任せていたので偉そうなことは言えない。

また一方で、妻のケアや母親サポートさえしっかりしていれば、無理して父親が慣れないオムツ交換に参入しなくてもいいのではないかという気もする。父親の育児参画として、子どもの世話をする直接的な育児もあれば、子どもの世話をする母親(妻)をサポートする間接的な育児もあるのではないだろうか。今うちは仕事(稼ぐ活動)に関しては僕がメインで妻がサブだが、育児(育む活動)に関しては妻がメインで僕がサブだ。どちらかが自分の好きな研究・趣味をする余裕がある場合は不公平感があるかもしれないが、幸か不幸か今はどちらもその余裕がない。(ゆえに研究できない焦りは募る。)

仕事と生活の調和、本当に大事である。今まで「研究者=人生のすべてを研究に捧げし者であり、人並みの幸せに浸っていては大成できない」などと勝手なイメージを抱いていた。が、妻子を持ったからには家庭も幸せにしたい。どっちにおいても充実したいが、なかなか現実は厳しい。二兎追う者は一兎をも……となっても困る。研究者として一番の葛藤になるQOL(Quality of Life)とQOR(Quantity of Research)の話は、また次回。

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